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2010年7月19日月曜日

まおゆう

魔王「この我のものとなれ、勇者よ」 勇者「断る!」

という一文で始まり、それが作品のタイトルになっているWeb小説
通称「まおゆう」。

インターネット上で密かに話題になっており、タイトルからとても気になっていたこの作品を先日読了しました。




【作品の概要】

2ちゃんねるニュース速報VIP板に立て逃げされた『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』スレッドを乗っ取る形で連載開始された長編ファンタジーWeb小説。
文字数にして86万文字を超えるらしい。


【特徴】

まず、記述形式が独特で登場人物の会話のみでほぼ構成されている。
例えば以下のような感じである。

・・・
魔王「勇者は好きだから、この話はやめてやる」
勇者「好きとか云うな」
魔王「この資料を見ろ」
勇者「なんだ、これ……羊皮紙じゃないのか?薄くて白くてつるつるだ……」
魔王「プリンタ用紙だ。それはどうでもいい。書いてあることが重要なんだ」
勇者「……えっと、需要爆発……雇用? 曲線? 消費動向……経済依存率?」
魔王「わかったか?」
勇者「なんだこれは。邪神の儀式か?」
魔王「違う。経済的視点から見た巨大消費市場としての戦争の効用だ」


また、上記例からも窺えるように登場人物に固有名詞がなく役割名で呼び合うことも特徴的である。

内容に関する特徴としては、王道のファンタジーに経済や戦争の概念を持ち込みリアリティのある描写で書かれていることが挙げられる。

・・・
商人子弟「あなたはっ。小麦を物資だとは見ていないっ。現在、疑似通貨としてみているっ」
青年商人「ええ」にこっ
商人子弟「そしてその小麦を、三ヶ国通商同盟に投資するおつもりかっ!?」
青年商人「ご名答です」
商人子弟「そ、そ、その心は・・・・・・」
青年商人「心は?」
商人子弟「・・・・・・二大通貨体制」ぞくっ

・・・
王弟元帥「このマスケットは」
ジャキッ
聖王国将官「その役割としては、弓よりも石弓と比すべきものだ。
 よく手入れされたマスケットは石弓よりも命中精度に優れ轟音を発し、
 目標に命中すれば、鉄の鎧を打ち抜く。
 そして、その訓練期間は驚くほど短い。凡庸な農夫であっても数ヶ月の訓練で、
 銃兵として戦場へ出ることが出来るだろう」
聖王国将官「訓練期間……」
王弟元帥「そうだ。それが唯一と言って良いほどの利点で全てを変える鍵なのだ。
 このマスケット銃は、“兵士という戦争に不可欠な資源の限りなく安くする”事が出来る。
 マスケット銃と適度な訓練さえあれば戦争の様相は一変する。」


【あらすじ】

魔王を討伐するために単身乗り込んできた勇者を経済的合理性により説得し、人間と魔族が共存できる平和な世界を作るための世直しの旅に出る。
魔王の卓越した経済観により、世の中は少しずつ良くなり始めたと思われたのだが・・・。


【感想】

まず単純な感想を言うと、とても面白かったです。

魔王と勇者を主人公とする王道RPGのファンタジー小説でありながら、魔王と勇者が手を組み世直しを試みると言う一種邪道なストーリーが自分のハートをがっちり捕らえました。
また経済や戦争、人物の心理描写なども細かく書かれているため読み応えがありました。
個人的には、人物名が固有名詞でなく役割名で表現されているという点が評価が高いです。
人物名を覚えるのが苦手なため長編小説では久しぶりにでてきたキャラクターに対して、あれ?こいつ誰だっけ?状態になることが非常に良くあるので・・・。
役割名だとイメージがパッと沸きます。
会話形式で話が進められるため見た目の細かい描写などがなく役割名でイメージを想像することになるのですが、これは荒いドット時代のRPGをプレイし世界を想像しながら冒険する感覚に近いんじゃないかと思います。
そういうゲームが好きなので、より一層物語を楽しめたのかもしれません。
途中、ドラクエのパロディが盛り込まれているのも一役買っています。

逆に残念だと思った点を書くと、
会話形式のみで物語を進めているため仕方ないのかもしれませんが、場面によっては単調に感じてしまうことがあります。
また、伏線回収がされていないものが少しありました。ただ、スレッドを乗っ取る形で連載を始め、読者の反応を見つつ大きな矛盾も無くこれだけのモノを書いたいう点では、この程度のミスで済んでいるのは驚異的なことですが。
あとは、経済や戦争をリアルに書いてはいるがご都合主義な展開が多いことでしょうか。これについては賛否両論あると思いますが、エンターテイメントとして読むのであればあまり気にならないかもしれません。
また、所謂萌え要素が含まれます。苦手な方はそのあたりを覚悟しつつ読み始めたほうが良いかもしれません。


【まとめ】

「魔王」とか「勇者」という単語があると1.5倍くらい面白く感じる



冒頭のみですが漫画化(動画化?)されてる方がおられます。
これで「まおゆう」を知りました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10860847

昼の12時から読み出して昼の12時に読み終えることが出来るらしい原作はこちら。
http://www35.atwiki.jp/maoyu/

9 件のコメント:

  1. オモロイ!!というよりも興味深い!!

    最初、誰か知らん人がいたずらでコメント残していった。
    と思ったくらい、ミソログの雰囲気から離れてて、
    意外性があって良かった。

    まとめがちょっと唐突なのが気になる。

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  2. Web小説の書評って面白いですね。

    こんなんがあるって全然知りませんでした。

    読者の反応を見ながら展開していくという創造の仕方はアプリ開発とかに取り入れたりできないかなぁ

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  3. 読者の反応を見ながら展開していく、
    という考え方はあまりしてなかった。
    なかなか良い切り口だと思います。

    小説とかマンガとかドラマじゃなく、
    その方式に最適なサービスがあるかもしれないと思った。

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  4. 記事を読んだことで作品に興味を持ってもらえれば、
    (あわよくば実際に作品を読んでもらえれば)書評として
    書いた甲斐があるね。

    どうすればもっと興味を持ってもらえるやろう。

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  5. 途中まで読んでライトノベル風味を乗り越えられなくて
    読むことを中断してしまった身としては、
    もう少し面白い部分の引用を増やすと良いかなあと思う。

    魔王「勇者は好きだから、この話はやめてやる」
    勇者「好きとか云うな」
    のくだりも、もっと面白い部分があるのに、
    例としてはパンチ力が小さいなと思う。

    「王道のファンタジーに経済や戦争の概念を持ち込み
     リアリティのある描写で書かれていること」
    が、良さの核心だと思うので、そのあたりを紹介して欲しい。

    全編通して読んでみて面白かったベスト10に入る部分を
    3つくらい紹介して、感想と結びつけるとか。

    勇者「誤魔化すなっ! 聖王国の大臣憑依だって
     魔族の仕業じゃないかっ!」
    魔王「欲の皮の突っ張った大臣が政権奪取と
     王族の姫君大集合ハーレムを作ろうとして失敗しただけだ。

    あたり、つまり一つめのコメントが、個人的には一番興味を引いたかな。

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  6. 例としての引用を増やし、本文を多少追記修正しました。

    日曜24時まで不在の可能性があるので、今からコラムとして投稿しなおしておきます。

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  7. 完成おめでとう!!

    例が増えて嬉しいです。
    けど、増えた例は俺にはちょっと内容が難しかった。

    ちなみに、いったん公開した記事を再投稿するときは、
    一度、「下書き」にしてから投稿すると、
    公開日まで見せずに予約できます。blogger豆知識。

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  8. そもそも公開日が間違っていたので修正しときました。
    ついでにラベルも書評よりネットの方が良さそうなので変えました。

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  9. 完成ありがとう!

    適切な引用を探すのも難しいね。文章量が多いと。

    公開日とラベルの訂正どうもです。
    0時と24時を間違えてたのかな。

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